自律神経失調症
自律神経は、自分の意志とは無関係にはたらき、人の体を最適に保ちつづけるようにする神経で、交感神経と副交感神経がバランスをとりながら作用します。
たとえば、交感神経は運動した際に心拍数を増やし、副交感神経はリラックス時に心拍数を減らす作用があります。胃腸に対しては逆で、副交感神経に胃腸の動きをよくする作用、交感神経に動きを遅くする作用があります。
この自律神経のバランスが崩れると、リラックス時に心拍数が増えたり、胃腸の調子がわるくなったりします。
症状は、めまい、肩こり、・頭痛、頭重、手足のしびれ、手足の冷え、顔のほてり、動悸、不眠、寝汗、イライラ、不安感、倦怠感、食欲不振など・・。
このような症状があり検査で原因が見つからない場合は、自律神経失調症ということが考えられます。
原因は、精神的・身体的なストレス、不規則な生活をするなどの生活習慣、女性に多く見られるホルモンランスの変化とされています。自律神経失調症の症状がでると、さらにそれがストレスになりホルモンバランスが変化したりする悪循環になることもあります。
漢方薬は、体全体のひずみを調整していくのが得意ですので、このような自律神経の乱れをなおすのに適しています。実際、飲み始めて数日(早ければ1日)で効果をあらわしてくることもあります。ただし、一般的に体質改善には日数を要します。
自律神経失調では成人女性のご相談が多いと思われがちですが、中高生の親御様からのご相談も結構ございます。
よく使う漢方薬など
自律神経失調症だから○○といった漢方薬ということにはなりません。たとえば、婦人科でよく処方される加味逍遙散ですが、のぼせが無い冷え性の人には選びません(加味逍遙散には冷やす作用もあります)。
その人が訴える症状と体質にあわせて漢方薬を選ぶ必要があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯煎薬(さいこかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯煎薬(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡桂枝乾姜湯煎薬(さいこけいしかんきょうとう)
抑肝散煎薬(よくかんさん)
半夏厚朴湯煎薬(はんげこうぼくとう)
補中益気湯煎薬(ほちゅうえっきとう)
女神散(にょしんさん)
心脾顆粒(しんぴかりゅう)
加味逍遙散(かみしょうようさん)
逍遥丸(しょうようがん)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)
シベリア人参(しべりあにんじん)
エキス顆粒で成分が入りにくい生薬が入っているタイプの漢方薬は、煎薬をおすすめします。